心躍る学びのつれづれ

維摩会 春秋館でお釈迦様の教えを学んでいます

未草は唯一の在来種

私たちがこの時期、池で目にする睡蓮の殆どが明治時代に輸入された、西洋生まれであること知っていますか!?

私は知らなかった!!!

日本原産の睡蓮はヒツジグサ(未草)一種とのこと。

その花は4〜6センチと小さく白一色。学名の属名はギリシャ神話の水の精に由来し、西洋睡蓮とは趣きを異にし、清らかで慎ましい印象とのことでした。

いつも行っている公園の野草観察園の一枚の看板からその存在を知ることになりました。


去年の8月ここで咲いているヒツジグサの花の写真を載せている人がいました。こんな一鉢の状態でなく、地面に石で囲ってあるそんなに大きくなさそうな池に葉っぱが水面を埋め尽くしその中に小さな花が咲いていました。現在の鉢の上に金網があるのが気になりますし、葉っぱが数枚あるだけです。花の写真と共に場所も書いてありましたからまさか、取られてしまったとか。。。

こちらがいつも見ている、この時期の正面の池の睡蓮の様子です。例年になく茂っています。
以前はヒツジグサも咲いていたそうですが昭和30年ころの急激な都市化に伴い、冷たく澄んだ湧水の減少に伴い、姿を消したとのことでした。70年も前にこの池からは消えてしまったんですね。

輸入種が「スイレン」の名称で呼ばれたことから、ヒツジグサスイレンが混同される原因となったようです。輸入種を「西洋スイレン」とすれば、日本唯一の在来種のヒツジグサとの区別もはっきりしたと思われますが。

元来スイレンとは中国におけるヒツジグサの呼称(漢名)、だだし日本でスイレンといった場合は、スイレン属に分類される植物の総称で具体的には外国産品種およびその園芸種を指し、日本の在来種という特殊な立場にあるヒツジグサスイレンとは呼ばず、独立させてヒツジグサと呼ぶのが普通だそうです。

日本名の未草(ヒツジグサ)は未の刻(昔の時刻の現し方11時〜13時)に花が咲くとか、閉じるとか言われていたためですが、その真偽を確かめるため、朝ドラで話題の植物学者牧野富太郎博士は京都の巨椋池で早朝から夕方まで観察を続けたそうです。結果花は正午から開き始め、2時頃満開、5時半にしぼみ始め、6時半に閉花を確かめたそうです。
因みに今回見つけた野草園の看板には、朝から夕方まで花は咲いたとのこと、地域によって異なるのでしょうね。

ヒツジグサは沖縄を除く日本全国に分布しているそうですが、大きな池ではなく山間部にあるような比較的小さな池、沼で生息しているそうです。

西洋スイレンに比べて葉も小さくて柔らかいため、葉を食べる草食や雑食の魚がいる大きな池では育たないらしく、比較的寒さにも強いため山間部の小さな池、沼で生き延びていることが多いとのことでした。

西洋睡蓮が入って来る前は、日本の池に咲いていたのは、慎ましやかな小さな白いこの睡蓮だけだったんですね。

今まで見たこともない大きくて色々な色の西洋睡蓮の花に惹かれたのは、無理ないことと思いますが、やがてそれら西洋睡蓮は日本唯一の在来種の存在を脅かすことになるとは、その時は考えられなかったと思います。

しかし仮に西洋睡蓮が日本に入ってこなかったとしても、ブラックバスを始め、中国からの大型魚などの池や沼での今の存在を考えると、未草は今と同じような運命を辿ったのでしょうね!!